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August 22, 2018

白茶の土

入院時に持って行った本は、廣津里香の『白茶の土』(創樹社 1991年)。
以前紹介した『私は優雅な叛逆者 生への手記』『蝶への変身 生の手記』を合わせた創樹社の3部作完結篇。『白茶の土』だけなかなか手に入らなかったのがようやく古書店から入手ができ念願かない読むことができた。

H1808191

本の帯より。

<生の手記(Note de Vivi)>と創作集 三部作・完結!

学園に政治の嵐が吹きあれているなか、彼女も揺り動かされつつ、束の間の奔放な青春を詩に絵に散文に奇しくも発散させ、そして若くして逝った。小島信夫氏をして「どうしてあんなに感動的なのであろうか」と感嘆させ、吉原幸子氏に「感情…不服や拒否…を鋭くとり出して突きつけられるような、たじろぎを私に与えた」と評させた著者の遺作・小説集。

「蝶の町」「悪魔と妖精」「白茶の土」を所収。

「蝶の町」「悪魔と妖精」は習作の域をでない感じの作品であるが、表題の「白茶の土」は感動的な小説に仕上がっている。いずれも日本ぎらい、日本人ぎらいであった彼女らしく舞台が外国、登場人物も外国人ばかりで、日本の小説のじめじめした湿り気はみじんも感じさせられない。

以下覚え書きです。

舞台はマラガの近く、スペインの港町(漁村)。鉄のてすりのてりが白っ茶けた道路に、海沿いに続いていた。全て白茶けた土の色、家までそんな色をしている。そのロマンティックな白茶の土の色は、私を魅きつけていた。夏から秋にかけて海辺の村に私とトニは滞在する。私はいつしかスパイ活動にかかわるようになり、浜で受け取る箱の包みをバーに運び続ける。ある国の独立運動を助けるための、人員や援助物資についての連絡という名目。私が受け渡しをしている品物は、密輸品で金に換えられて組織の資金になっているという(実はエミリオの給料だった)。夏は観光客で賑わう村も夏を過ぎるとひっそりで静まりかえってしまう。私のスパイ活動に関わった人間が次々と殺されていく事件が続く。密輸の片棒をかつがされ身の危険を感じた私はスパイの仕事から身を引こうとする。私とトニの愛の葛藤。季節は冬から春に。エミリオの非合法の諜報活動(二重スパイ?)に巻き込まれる私。トニの死。エミリオは国外に去る。ラストは短い生涯を風のように駆け抜けぬけていった彼女のその死を予兆させるような終わり方でせつない。

■登場人物

・私(主人公)
日本人。女の子。7才で空襲を経験、弟と両親を亡くす。叔父、祖父母がいる。
東大卒。22才。卒業式に出ずに日本をとび出す。
マドリッドでトニ出会いマラガの近くの海岸に連れて来られる。
最初トニの部屋に住んでいたが、新しく部屋を借りレストランで歌を歌う仕事をする。
バーで働き歌をうたいながら、スパイの仕事(運搬人)を引き受ける。
トニが好きで仲が良かったが次第にエミリオに惹かれていき結婚する。

・トニ
日本人。21才の男の子。孤児。祖母は英国人。
中学以来英国で教育を受ける。叔父の家で育てられ、中学から寄宿舎で過ごした。
大学生(専攻は法学)。大学卒業後はイギリス国籍を取り、イギリスで弁護士になる予定。
主人公(私)を愛し好意を寄せる。カルロに銃で撃たれ死ぬ。

・エミリオ

ギター弾きの男。バーを経営。漁師。30才近い。自称スペイン人。
スパイ組織の重要人物。ある機関の協力者・情報提供者で密出国などに関わる。
主人公(私)に好意を寄せ、仕事を紹介。
私にマイクロ・フィルムが隠された民族衣装をプレゼント。私と結婚。

・フランコ
外国人。

・ヒゲの大男
エミリオの知人で私にスパイの仕事を紹介。ある機関の本部から来た。

・ジヤン・ジャック
スパイの指令書(手紙)の送り主。ジヤン・ジャック=エミリオ?

・カルロ
漁師風の男。エミリオの友達の漁師。紙包みや集会の演説者の名前リストの受取人。
密輸入や密出国はカルロの船が使われる。エミリオに銃で撃たれる。

・水夫
浜の漁師小屋で包みを私に渡す。

・4人の演説者
ある集会(アフリカのある新興国に関する資金集め)の弁士。
私は演説者の氏名を伝える指令を受ける。4人の男は殺される。

・トマティー
中年の男。正規の諜報部員(スパイ)。英国人。
ジヤン・ジャックの指令で会う。私をひきとめる目的?溺死。

・ジェニー
赤毛の大柄な女。トマティーの友人。
トマティーが入りびたっていたナイトクラブの歌手。
英国人。私の民族衣装を欲しがる。溺死。

・ロネ
私が働くバーの主人(バーの持主はエミリオでロネはバーテン)。
アフリカ向けの密輸(血清や抗生物質)の嫌疑で検挙される。

・衣装を刺繍した女
20才手前。エミリオの元彼女。

・ジョーンズ
トニからの問合せに回答する。スコットランド・ヤード警視の肩書。
諜報部員。トマティーの死因調査やエミリオの追跡が仕事。

・刑事
マラガの警察本部(スペイン警察)から私に呼出状が来る。

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